徒然草
いづくにもあれ、しばし旅立ちたるこそ、目さむる心地すれ。
そのわたり、ここかしこ見ありき、ゐなかびたる所、山里などは、いと目慣れぬことのみぞ多かる。都へ便り求めて文やる、「そのこと、かのこと、便宜に忘るな」など言ひやるこそをかしけれ。
さやうの所にてこそ、万に心づかひせらるれ。持てる調度まで、よきはよく、能ある人、かたちよき人も、常よりはをかしとこそ見ゆれ。
寺・社などに忍びて籠りたるもをかし。
松田史生氏が作成したテキストファイルを、岡島昭浩氏が手を加え、さらに江口聡氏がHTML化したファイルを以下のように変更しました。
変更箇所
ルビ付きHTMLファイルに変換
ルビをカタカナからひらがなに変更
行間処理(行間180%)
段落処理(形式段落ごとに<P>タグ追加、段落冒頭の一字下げを一行下げに変更)
変更作業:里実福太朗
変更終了:平成13年10月