浮舟(明融臨模本)
登場人物
第一章 匂宮の物語 匂宮、大内記から薫と浮舟の関係を聞き知る
- 匂宮、浮舟を追想し、中君を恨む---宮、なほ、かのほのかなりし夕べを思し忘るる世なし
- 薫、浮舟を宇治に放置---かの人は、たとしへなくのどかに思しおきてて
- 薫と中君の仲---すこしいとまなきやうにもなりたまひにたれど
- 正月、宇治から京の中君への文---睦月の朔日過ぎたるころ渡りたまひて
- 匂宮、手紙の主を浮舟と察知す---ことにらうらうじきふしも見えねど
- 匂宮、大内記から薫と浮舟の関係を知る---わが御方におはしまして、「あやしうもあるかな
- 匂宮、薫の噂を聞き知り喜ぶ---「いとうれしくも聞きつるかな」と思ほして
第二章 浮舟と匂宮の物語 匂宮、薫の声をまねて浮舟の寝所に忍び込む
- 匂宮、宇治行きを大内記に相談---ただそのことを、このころは思ししみたり
- 匂宮、馬で宇治へ赴く---御供に、昔もかしこの案内知れりし者、二、三人
- 匂宮、浮舟とその女房らを覗き見る---やをら昇りて、格子の隙あるを見つけて
- 匂宮、薫の声をまねて浮舟の寝所に忍び込む---「何ばかりの親族にかはあらむ
- 翌朝、匂宮、京へ帰らず居座る---夜は、ただ明けに明く。御供の人来て声づくる
- 右近、匂宮と浮舟の密事を隠蔽す---右近出でて、このおとなふ人に
- 右近、浮舟の母の使者の迎えを断わる---日高くなれば、格子など上げて
- 匂宮と浮舟、一日仲睦まじく過ごす---例は暮らしがたくのみ、霞める山際を
- 翌朝、匂宮、京へ帰る---夜さり、京へ遣はしつる大夫参りて、右近に会ひたり
第三章 浮舟と薫の物語 薫と浮舟、宇治橋の和歌を詠み交す
- 匂宮、二条院に帰邸し、中君を責める---二条の院におはしまし着きて、女君
- 明石中宮からと薫の見舞い---内裏より大宮の御文あるに、驚きたまひて
- 二月上旬、薫、宇治へ行く---月もたちぬ。かう思し知らるれど、おはしますことは
- 薫と浮舟、それぞれの思い---「造らする所、やうやうよろしうしなしてけり
- 薫と浮舟、宇治橋の和歌を詠み交す---山の方は霞隔てて、寒き洲崎に立てる鵲の姿
第四章 浮舟と匂宮の物語 匂宮と浮舟、橘の小島の和歌を詠み交す
- 二月十日、宮中の詩会催される---如月の十日のほどに、内裏に文作らせたまふとて
- 匂宮、雪の山道の宇治へ行く---かの人の御けしきにも、いとど驚かれたまひければ
- 匂宮と浮舟、橘の小島の和歌を詠み交す---夜のほどにて立ち帰りたまはむも
- 匂宮、浮舟に心奪われる--日さし出でて、軒の垂氷の光りあひたるに
- 匂宮、浮舟と一日を過ごす---人目も絶えて、心やすく語らひ暮らしたまふ
- 匂宮、京へ帰り立つ---御物忌、二日とたばかりたまへれば、心のどかなるままに
- 匂宮、二条院に帰邸後、病に臥す---かやうの帰さは、なほ二条にぞおはします
第五章 浮舟の物語 浮舟、恋の板ばさみに、入水を思う
- 春雨の続く頃、匂宮から手紙が届く---雨降り止まで、日ごろ多くなるころ
- その同じ頃、薫からも手紙が届く---これかれと見るもいとうたてあれば
- 匂宮、薫の浮舟を新築邸に移すことを知る---女宮に物語など聞こえたまひてのついでに
- 浮舟の母、京から宇治に来る---大将殿は、卯月の十日となむ定めたまへりける
- 浮舟の母、弁の尼君と語る---暮れて月いと明かし。有明の空を思ひ出づる
- 浮舟、母と尼の話から、入水を思う---「あな、むくつけや。帝の御女を持ちたてまつり
- 浮舟の母、帰京す---悩ましげにて痩せたまへるを、乳母にも言ひて
第六章 浮舟と薫の物語 浮舟、右近の姉の悲話から死を願う
- 薫と匂宮の使者同士出くわす---殿の御文は今日もあり。悩ましと聞こえたりしを
- 薫、匂宮が女からの文を読んでいるのを見る---かどかどしき者にて、供にある童を
- 薫、随身から匂宮と浮舟の関係を知らされる---夜更けて、皆出でたまひぬ。大臣は、宮を先に立て
- 薫、帰邸の道中、思い乱れる---道すがら、「なほ、いと恐ろしく、隈なくおはする宮なりや
- 薫、宇治へ随身を遣わす---「我、すさまじく思ひなりて、捨て置きたらば
- 右近と侍従、右近の姉の悲話を語る---まほならねど、ほのめかしたまへるけしきを
- 浮舟、右近の姉の悲話から死を願う---「いさや。右近は、とてもかくても、事なく
第七章 浮舟の物語 浮舟、匂宮にも逢わず、母へ告別の和歌を詠み残す
- 内舎人、薫の伝言を右近に伝える---殿よりは、かのありし返り事をだにのたまはで
- 浮舟、死を決意して、文を処分す---君は、「げに、ただ今いと悪しくなりぬべき身なめり
- 三月二十日過ぎ、浮舟、匂宮を思い泣く---二十日あまりにもなりぬ。かの家主
- 匂宮、宇治へ行く---宮、「かくのみ、なほ受け引くけしきもなくて
- 匂宮、浮舟に逢えず帰京す---宮は、御馬にてすこし遠く立ちたまへるに
- 浮舟の今生の思い---右近は、言ひ切りつるよし言ひゐたるに
- 京から母の手紙が届く---宮は、いみじきことどもをのたまへり
- 浮舟、母への告別の和歌を詠み残す---寺へ人遣りたるほど、返り事書く
【出典】
【校訂】
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